町内会 / 自治会の日程調整 - 回覧板とオンラインを併用する
総会。資源回収。夏祭り。防災訓練。運動会。年末の見回り。役員の引き継ぎ。 町内会や自治会の行事は、そのほとんどが去年と同じ時期に、同じ順番でやってくる。
つまり日程調整の対象は行事そのものではない。行事の日付は慣例で決まっていることが多く、動かしにくい。 調整が必要なのは、その前に開く役員会と準備日、そして「何人来るか」を数える出欠のほうだ。 そして町内会の出欠には、他の場面には無い条件が付く。参加者に高齢の方が含まれ、 連絡の主経路が紙 (回覧板と掲示板) であることだ。
町内会の 1 年の行事を先に 1 枚にする
役員の任期は 1 年が多い。引き継いだ人は、いつ何があるのかを月ごとに聞かされながら 1 年を過ごす。 最初の役員会でやるべきことは、行事の日付を決めることではなく、 行事と準備の集まりが 1 年のどこに来るかを 1 枚に置くことだ。
例: 行事 (濃い枠) と準備の集まり (細い枠) が重なる月
- 9 月から 1 月に行事が 4 つ集中する。ここに役員会を毎月入れると出席率が落ちる
- 準備の集まりは行事の 1 か月前に置く。それより早いと人が忘れ、直前だと買い出しが間に合わない
- 2 月から 3 月は引き継ぎと総会の準備が重なる。次期役員が決まっていないと総会の議案が書けない
※ 行事の中身と時期は地域で違う。空欄の 12 か月の表を作り、自分の会の行事を置き直して使う
この 1 枚があると、日程調整の回数そのものが減る。 役員会は「行事の 1 か月前の第 1 日曜」のように規則で決めてしまえば、毎回の候補日集めが要らない。 日付を集めて決めるのは、規則から外れる集まりだけでよい。
回覧板が回りきる日数を締切に入れる
町内会の連絡は、渡した瞬間には届かない。回覧板は 1 軒ずつ手渡しで進む。 1 軒が翌日に回せば早いほうで、留守や旅行が 1 軒あればそこで数日止まる。 班が 12 軒なら、1 軒 1 日で回っても最後の家に届くのは 12 日後だ。止まる家が数軒あればさらに伸びる。
だから締切を「回覧板が戻ってきた日」に置くと、必ず間に合わない。 締切は回覧に出した日から数えた固定の日付で書き、同じ内容を 3 つの経路に同時に出す。
- 掲示板には日付と締切だけを大きく書いた 1 枚を貼る。読むのに立ち止まる時間は 10 秒しかない
- 回覧板には詳しい説明と、切り取って提出できる欄を付ける。書ける人はここで完結する
- オンラインは回覧を待たずに答えられる経路として置く。回覧が自分の家に来る前に答えられる
締切の 3 日前に、掲示板の紙を貼り替えるか、班長から声をかける。リマインダーを 1 回入れるだけで、 締切当日にまとめて集まる回答が前倒しになり、人数の見込みが早く立つ。
回答の単位を世帯と班にする
会社やサークルの出欠表は 1 人 1 行で作る。町内会でこれをやると数が合わなくなる。 「〇〇さんの家から誰が来るのか」が分からないまま人数だけが増え、 当日の席や食材が余ったり足りなくなったりする。
集める単位は世帯にする。1 世帯 1 行で「参加する人数」を数字で答えてもらう形にすれば、 名前を 1 人ずつ書かせずに合計を数えやすくなる。回答欄は班の番号と軒 (世帯) の識別、参加人数の 3 つで足りる。
- 班長がまとめて入力する経路を認める。紙で受け取った分を班長が代わりに入れる前提で作る
- 二重に数えない書き方にする。班長がまとめた分は「3 班 4 軒分」と分かるように 1 行で入れる
- 子どもの人数は別に数える。景品や飲み物の数が大人と別だからだ
- 総会は出席と委任を分けて集める。議決の成立条件が規約で決まっている会では、委任状の枚数まで数える必要がある
総会の成立条件は会ごとに違う。自分の会の規約に定足数の定めがあるかを先に読み、 出欠表の選択肢を「出席 / 欠席 (委任する) / 欠席」の 3 つに分けるかどうかを決める。
オンラインは紙を減らすためではなく、紙を続けるために足す
町内会でオンライン化が失敗するのは、紙をやめようとしたときだ。 回覧板を廃止して連絡先の登録を求めると、登録できない世帯が連絡から外れる。 それは効率化ではなく、届かない世帯を作ったことになる。
紙は残したまま、答えやすい経路を 1 つ足す。ピックデーで掲示板に貼る回答ページを用意すると、 印刷された URL を開いた人は、そのまま選んで閉じられる。登録も会員の手続きも要らず、回答ページに広告も出ないため、回覧板や掲示板に載せる URL としてためらいが要らない。 紙の切り取り欄で出した人と、開いて答えた人の集計が 1 か所にまとまる。
同じ考え方は学校の役員の集まりでも使えるが、条件が違う。PTA や保護者会の日程調整は 相手が勤め先を持つ世代に寄るので、平日夜と土曜が争点になる。 地域の行事は参加者の年齢の幅が広く、争点は曜日ではなく時間帯と暑さに移る。
時間帯と所要時間を先に決めて書く
高齢の参加者が多い集まりでは、日付が合っているかより、その時間に外に出られるかが問題になる。 書き方を変えるだけで参加できる人が増える項目がある。
- 午前に寄せる。夕方から夜は、暗い道を歩いて帰ることが負担になる
- 所要時間を明記する。「9 時から 10 時まで」と終わりを書くと、予定を立てて出られる
- 暑い時期の中止の目安を先に書く。当日の朝に決めるより、基準を出しておくほうが問い合わせが減る
- 会場までの経路を書く。階段の有無と、椅子があるかどうかは参加の判断を変える
- 雨天時の扱いを同じ紙に書く。別紙にすると、雨の朝に電話が班長に集まる
準備の集まりも同じだ。役員会を 2 時間の枠で開くと、後半は雑談になり出席が続かない。 議題を 3 つに絞って 1 時間で閉じると決めておけば、次の回に来る人が減らない。
参加率ではなく、手を挙げた人の数で見る
町内会の行事の出欠は、集めた数を去年と比べたくなる。 だが世帯数そのものが動く地域では、参加率が下がったのか母数が変わったのかが分からない。
見るべき数字は別にある。次の準備に「やります」と手を挙げた人が何人出たかだ。 出欠表の最後に「準備の手伝いができる日」を 1 行だけ置いておくと、この数が取れる。 参加者を数えるための表を、次の担い手を見つける表としても使えるということだ。
行事は人が集まらなくても開ける。開けなくなるのは、準備する人がいなくなったときだ。 出欠を集める作業を、その一点を観測する機会として設計しておく価値がある。